かえるせいのおうじさま
「じゃあ、かえるさんはバラと別れてからすぐに地球に来たの?」
「いや、途中でたくさんの星に寄って来たのです、いろいろな人たちに会いました。」
「例えば、どんな人と会ったの?」
「最初の星で会ったのは命令ばかりする王様です。」
「命令ばかりする王様?」
「いつも人に命令をするのですが、自分の命令が遂行されるかどうかがものすごく気になるので、最初から守られる命令をすることを、とっても気にしていた王様です。」
「変な王様だね。」
「どんな命令をするの?」
「かえるさんが眠くなると、寝ることを許可する!とか命令してくるんです。」
「そんな命令意味ないじゃないか。」
「でも、うっかり、相手が出来ないことを命令してしまったら、命令を聞いてもらえない王様、って思われちゃうかもしれないじゃないですか。」
「そんなこと思わないよ、むしろ変な人だなぁ、って思う。」
「でも、人って現実にどう見られるか、より、自分が思う世間体の方が大切だったりしますでしょ。」
「自分が思う世間体か、そう言われると耳が痛いかも。」
「そして、かえるさんが、その王様の元を離れる時は、とっても嫌がり、その星にとどまるように命令したそうでしたが、かえるさんが、絶対に星をはなれる、と判った時には、違う星々を調査する使命を言い渡されました。」
「そんなに自分の命令が重要なんだね。ちょっと可哀そうだなぁ。」
「そうですね、自分がこう見られたい、こう見られるべきだ。と思いこんでしまうと、本当にやりたいことを忘れてしまう、と言うことでしょうね。」
「なるほど。」
「次の星では、とにかく自分を褒めて欲しい、と頼んでくる人がいました。」
「褒めて欲しい、って言うのは気持ちが判るな。」
「でも、やりたいことをやったり、自分がいいな、と思うことを褒めてもらわないと意味が無い気がするんですよね。」
「どうやって、誉めて欲しい、って頼んで来るの?」
「とにかく拍手をして欲しい、とか言ってくるんですよ。」
「どんな理由で?」
「ただ、拍手をして欲しい、とか、感心して欲しい、って言ってくるんです。」
「そんなの意味ないじゃないか。」
「相手が深く判っていて、褒めてくれるから嬉しいんじゃないのかな。」
「かえるさんも、そう思うのですが、もう、褒めて欲しくて褒めて欲しくて意味を考えなくなってしまったようです。」
「でも、自分が欲しいものを買っていた人が、褒められるためにモノを買うようになることはよくあるのではないでしょうか。」
「褒めて欲しい、自己承認欲求に振り回されてしまうのも良くあることか。」
「どうして、その星の人は、そうなってしまったんだろう?」
「はっきり言って他にやることが無いのだと思います。やることが無いと人は自分が本当にやりたいことが判らなくなってしまいます。」
「本当にやりたいこと、ってそんなに大事なことなの?」
「本当にやりたいことをやっていると、もっと上手にやりたい、楽しい、って思うから自然に成長していくのです。」
「成長か。」
「成長できると、自信がついてきます、そうなると、世間体や、自己承認欲求からは解放されて、ますます本当にやりたいことが見えてくるのです。」
「そうか、世間体や、自己承認欲求だけを追いかけていても満たされることはないから、後で振り返ると自分は何をやっていたんだろう?ってなっちゃうんだね。」
「そういうことです。」
かえるせいのおうじさま 第三章 終わり
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