かえるせいのおうじさま
「それからきつねさんとはどうなったの?」
「少しづつ仲良くなりました。」
「日々、いろいろなお話をしたのですが、たくさんのお話が印象に残っていますよ。お友達については何度も何度もお話ししました。」
「へぇ。」
「その日のお話はこんなお話でした。」
「きつねさんにとっての友達ってどう考えているんですか?」
「僕にとっての友達か。いつでもどこでも、本人が目の前にいなくても思い出しちゃう人かな。」
「どういう時に思い出すのですか?」
「例えばかえるさんだったら、春が来て緑色の葉っぱをみたら思い出すよ。」
「なるほど、何かを結び付けて思い出す、それほどに記憶に根付いている、と言うことですね。」
「それは、ともに時を過ごした、と言うことでしょうか。」
「ともに大切な時を過ごした、とも言えるね。」
「その大切な時、楽しい時、と言うのが人によって求めるものが違うから友達は難しいのかもしれませんね。」
「そういう面もあるけど、頭で思う大切な時と本当に心に残る大切な時は必ずしも一致しないことも忘れちゃいけないよ。」
「と、言いますと?」
「いつも忙しくしていると、楽しかったことも無駄に感じたりするよ。」
「そういうのはあるかもしれませんね。」「価値を求めてしまう部分があるかもしれません。」
「そう言うのが続くと相手に軽視されている気がしたりするものだよ。」
「そういう価値観も含めると友人関係は奥が深いですな。」
「いや、友人関係なんて簡単なものなんだよ、ただ、友人に対してつけている条件が難しい人には難しいのさ。」
「たしかに、友人で悩む人はそもそも友人が要らないんじゃないか、と思ったりするのですよ。時間的に処理しきれないものを処理しようとして条件を付けているような気がするのです。」
「友人に求める条件は、最初から相手と一致していないと難しいよね、修正してもらうことは出来ないもんね。」
「そうなんです、修正してもらおうとする、と言うことは相手に過度な期待を抱いているということ、それは何らかの形で破滅、終了することになりますね。」
「きっと問題は、相手が修正に応じるような嘘をついた時だよ。人間はそれを信じちゃうから。」
「その問題は核心的ですよね、約束は守らないと相手ががっかりしてしまう、と思って厳守する人と、言った瞬間から忘れる人がいるから。」
「言った瞬間に忘れる人は、その瞬間、自分の思い通りになればいいから、約束で未来の自分を拘束しない、だから簡単に約束をして破ることが出来るんだ。そもそも約束なんかしていないんだ。」
「それを一回信じちゃうと、約束は信じたいけど、嘘ってわかっているから苦しむんだよね。嘘との闘いは自分との闘いとも言える。」
「そうなんです、しかし、嘘を平気でつく人を酷いと思う反面、かえるさんは、どこかでうらやましいのかもしれない、と思うんですよ。」
「うらやましい!そうだね、うらやましいよ、プライドとかが無ければいつも自由だ、とも言えるよね。なりたくないけど、うらやましい。」
「そういう人は、嘘を言って人を苦しめた、と考えず、嘘を信じるなんて馬鹿だなぁ、って思うから罪の意識も無いんですよね。」
「ただ、約束を守るからこそできる信頼のすばらしさを一生知らないで終わるなんてかわいそうだとも思うよ。」
「なるほど、そう思うと、罪の意識って何でしょうね。自分で勝手に生み出しているとも言えるし、自分を守っているものだとも思うんです。」
「罪は思い込みでもあるね、無意識である砂漠でするのにぴったりな話だ。」
「でも、相手のために約束を守る人を何とも思わない人もいるけど、同じ価値を持っている人に会ったらうれしいよね、結局、人生っていつもいつもうまく行くわけじゃないから面白いのさ。」
「きつねさんとこういうお話をしていると、僕の中で、きつねさんの重要度は上がっていきますね。楽しいものです。」
「そうだね、そう考えると、嘘を言ったりして困らせる人もかえるさんが考えるきっかけを作ってくれているね、そういうのも時間を共に過ごしたと言えるかもしれないね。」
「生き方が違うから一緒にはいられないけど、勉強になる、成長させてくれる、そういう形の友達もあるのかもしれないよ。」
「どんな形でも頭の中にいる時間が長いと重要度が増していきますね。」
「ただ、実際に一緒にいると重要度だけではなく、自分の一部のように大切になっていくから一緒にいられるならその時間を大切にしたいね。」
かえるせいのおうじさま 第七章 終わり
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