かえるせいのおうじさま
「毒蛇の後には何があったんだい?」
「きつねさんと会ったんですよ。」
「かえるさんが歩いているときつねさんが話しかけてきたんです。」
「こんにちは。」
「声は聞こえたけれど周りを見回すと誰も見当たらなくって、かえるさんが声の主を探していると、きつねはまた話しかけてきたんです。」
「こんにちは、僕は小さいから下の方にいるよ。」
「おお、失礼しました、こんにちは。」
「君は見たところかえるみたいだけど、何でこんな砂漠にいるんだい?」
「僕はかえるさんです、なんて言うか宇宙のいろいろな星を回っていて気が付いたら地球にいました。」
「地球は感覚、みんなが現実だと思う場所だね。」
「そうですね、気づいたらいた感じです。」
「じゃあ、毒蛇に気を付けないとね。」
「今は何をしているんだい?」
「なんとなく友達を探しています。」
「友達を探している?!」
「そんな雑な探し方ダメだなぁ。友達なんて言葉の意味は全員違うんだよ。」
「全くその通りです、かえるさんはずっと友達と言う言葉の意味を考えていたのですよ。」
「友達と言う言葉にはみんなそれぞれの期待があるんだ、それが全員違うから話は難しい。しかもみんな友達と言う言葉になにか素晴らしいものを期待してしまうから衝突の原因にもなるよ。」
「じゃあ期待しない、と言うのでは要らなくなってしまうでしょ、そこが悩ましいのです。」
「期待して、ガッカリすればいいじゃないか、すごく勉強になるよ。」
「ガッカリすればいい…。」
「全然、期待が無いのではときめかないでしょ、でも相手も生きているから絶対に思い通りにはならない。」
「思い通りにならないのなら要らない、というのでは相手にとってもそんな友達は要らないでしょ。」
「確かにそうですよね。」
「人と付き合う上でとても難しいのは、嘘の扱いですよ。」
「嘘には種類がたくさんあるよね。」
「嘘つきと言われる人たちにとっては嘘なんてものは無いんだよね。」
「嘘をつく人は簡単に、そんなつもりじゃなかった、とか言いますよね。」
「そういう人はそもそも何を言ったかなんて覚えていないんだから、そういう人たちの言葉を嘘とか本当とかいう時点で友達になって面白いものじゃないよ。」
「でもそういう考え方の違いを知ることが出来るのはすごく勉強になりますよね。」
「逆に自分が言葉に囚われている、ってことがとてもよく見えるのです。」
「でも、それが結論じゃあ、その人と友達にはなれないじゃないか。」
「そうなんです、そう考えると、そもそも友達が必要なのか?と言うことですよ。」
「たしかに、それは難しいよね、なにしろ一日は24時間しかないからね。」
「そうなんです、でも、その考え方こそ、友達にすごく期待している、ってことだと思いませんか?」
「なるほど、シャットアウトしたいと思うのは、期待通りになってほしい、思い通りになってほしい気持ちの裏返しとも言えるもんね。」
「でも、そんな考え方をする人は、友達は作りにくいよ。だって、友達は必要とか必要じゃない、とかそういうものじゃないから。」
「全くその通りです。」
「きつねさんは大変面白い方ですね、また来てもよろしいでしょうか。」
「いいけど、いるか判らないよ、ぼくはかえるさんと会ったばかりだから。」
「会ったばかり、ということは大切ですかね。」
「そうだよ、お互いに使った時間が大きいほど重要な存在になっていくんだよ。」
「なるほど、そういう考え方もありますね、また寄ってみます。」
そう言ってその日はお別れしました。
かえるせいのおうじさま 第六章 終わり
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