こんにちは、かえるさんです。今回は「十牛図(じゅうぎゅうず)」を使って自分を知る意味を考えたいと思います。
「十牛図」は中国の禅宗臨済宗のお坊さんが描いた絵です。
「牛」を捜し求めるべき「自分」または目指すべき「悟り」のイメージでお話は進みます。
それを探す「人」のお話でもあります。
自分を探す、いかにも禅って感じだね。
占いと関係あるの?
西洋占星術は、おみくじのように未来が上手く行くか行かないか、と言う技術ではありません。自分を知り、人の価値観を知り今までの行動の理由を考えて結果をコントロールする技術です。
ですから自分を知る、と言う部分は共通しています。
なるほど。
今回は「十牛図」のお話です~☆
- 尋牛(じんぎゅう)
- 見跡(けんせき)
- 見牛(けんぎゅう)
- 得牛(とくぎゅう)
- 牧牛(ぼくぎゅう)
- 騎牛帰家(きぎゅうきか)
- 忘牛存人(ぼうぎゅうぞんじん)
- 人牛倶忘(じんぎゅうぐぼう)
- 返本還源(へんぽんかんげん)
- 入鄽垂手(にってんすいしゅ)
尋牛(じんぎゅう)
最初は牛を探し始める所から始まります。
牛は、悟りなんでしょ?
まあ、簡単に言えばそうですね、そういうつもりで話は始まります。
悟りたい、ってことは、今に何か不満があるんだね。
そうですね、今に不満で、何かスッキリする方法が欲しい、そしてそれがあると思っている状態とも言えます。
でも「悟り」なんて、特別な状態があるわけではありません。要するに、何かいい方法ないかな、って状態です。
なるほど。
そして、現実に良い違う方法を見つけたければ、自分を知るしかありません。占いもその技術です。
漠然と自分の過去を振り返ることで、牛を探すことになるのです。
見跡(けんせき)
お、牛の足跡を見つけたんだ。
そうです、牛の足跡と言うのは、自分の行動の結果です、それを追いかけていけば、自分と言う牛が見えてきますよね。
でも、それは誰でもするんじゃないの?
運が悪かった、あの人のせいだ、なんて自分の足跡は見ないようにする方が普通ですよ。
じゃあ、足跡を見つけるというのは、
自分を直視し始めた、と言うことです。
見牛(けんぎゅう)
お!ついに牛だ!
牛の足跡を追っていくと、ついに自分が何をしていたのか、が見えてきます。
それが、牛の足跡を追う、と言う意味です。
自分が、こうしていたから、こうなった、と言う事実、自分そのものを見つけた、と言うことです。
自分を知る、ってことか。
人は自分がどう思っているか、は知っています、しかし、外からどう見えているかは意外に判らないものです。
その外から見た自分を知ることが、自分を知るってことになるの?
そうです、そして現実をコントロールする基礎になるとも言えます。
得牛(とくぎゅう)
お、ついに牛を捕まえたね!
そうですね、しかし、引いても押しても思うようには動きません。
自分なのに?
自分だからです。
人は、判っちゃいるけど、頑張れない、あと少しのガマンが出来ない、と言うことがあるものです。
う、たしかに。
しかし、自分を知ってそれと戦うのは、また違います。
自分には何が出来るか、どうすればいいか、が判っていて、出来ないのは苦しいものです。弱い自分と直面します。
そうか、自分を知らない時は、自分以外の何かのせいにしてたんだもんね。
しかし、ここを乗り越えずに何かを得ることは出来ません。
牛との格闘だね。
占いで、自分を調べて知るのは、この状態と言えますね。占い師の仕事はココから始まると言えますね。
牧牛(ぼくぎゅう)
お、牛と仲良くなった。
アレコレと葛藤し、事実を知って、自分と折り合えるようになったと言えます。
すごいね!
え、まだ真ん中位なのに、こんなに成長していいの?
いえいえ、それでも、牛が暴れなくなっただけで、ロープでつながっていることに注目です。
そうか、またいつ暴れだすか判らないし、少なくともその不安はあるんだ。
そうです、要するに自分に対する不安と言えますね。
占いで言うと、自分を知った人が具体的な改善策、方向性を考える段階です、占い師にとっても重要な仕事ですね。
騎牛帰家(きぎゅうきか)
おお、もう乗っちゃってるね。
そうですね、すっかり安心して、牛を探すたびも終わったので、家路に着きます。
じゃあ、もう不安は無いんだね。
ただ、牛に乗っている、と言うことは牛と一体なのとは違います、そもそも牛と人は、自分と自分だったはずです。
そうか、「人」は自分の行動、「牛」は自分の気持ちとも言えるのか、
あれ?逆かな「牛」が自分の行動、「人」は自分の気持ちかな?
良い考え方です、決め付けないでよいでしょう。「人」は人ですから自覚的な自分、「牛」は無意識的な無自覚な自分と言えるかもしれません。
自分の気持ちを押し殺して、いつもガマンしている人には「人が気持ち」。自分の感じるままに生きて結果に出来ない人は「牛が気持ち」かもしれませんね。
あー、なるほど、人によって違う、と言うことは同じ人でも時によって違うのかな。
言葉で無い「図」だから表現出来ると言えますよね。
深く考えれば、おのずと自分の正解が見えるでしょう。
忘牛存人(ぼうぎゅうぞんじん)
お、牛がいない!逃げられた?
そうではありません、家に帰り日常にかえり、牛を忘れる、と言うことです。
せっかく捕まえたのに?
牛はそもそも自分ですから、いなくて当たり前なんです、ただ、遠くはなれ見失っていたから探しに行ったのです。
あー、なるほど。分離しちゃったから、困ってたんだね。
病気で困ってた人が治ったような感覚とも言えますね。
そうか、牛に苦しめられなくなった、と言うイメージだね。
そして、牛を探す前には判らなかった何かに気付きだしているのですが、自分でもそのことにも気付いていないような状態ですね。
占いで言えば、占いで自分を知り、現状を深く認識して、実際に行動し、問題を解決し、それが日常になったイメージですね。
人牛倶忘(じんぎゅうぐぼう)
あらま!何にも無い。
もう、人とか牛とか、そう言う考え方自体が完全に消え去った状態です。
お!禅っぽいな!無じゃないの!悟った感じ?
アレコレ考えない、アレコレ悩まない、そう言う自然なイメージです。
それを悟りました!と言うのは禅的ではないですよね。禅はより良く生きる生き方の道とも言えます。自慢したり見せびらかすような欲の世界とは違います。
だから、山にこもったり、絶食したり、特別なことは必要ありません、日々出来ることなのです。
ただ、アレコレ悩まない、牛がどうとか自分がどうとか、真理がどうこう、などとは一線を画した状態です。
占いで言えば、悩んでいたことも、忘れるような感じかな。
牛と自分は完全に一致して、全く意識せずに自然にバランスのとれた考えを持ち、行動を取れる、そんな状態と言えるでしょう。
心の欲する所に従えども矩(のり)をこえず、と言った所でしょうか。
孔子だね、それ70歳の境地じゃないの。
そして「自分」と言う考え方自体から抜け出そうとしているとも言えます。
「自分」と言う考え方から抜ける?!
「自分」だけ何で?、「自分」はダメだ、「自分」には無理だ、「自分」と言う考え方に苦しめられている人は多いでしょう。
だから、頑張れるとも言えるけど一理あるな。
返本還源(へんぽんかんげん)
もう、関係無くなっちゃてるじゃん。
「自分」と言う意識にうすく、日常の風景を楽しんでいる、とも取れます。
おー、なるほど。自分、自分、って思うから苦しみ、悩んでいた、とも言えるのか。風景を愉しむ自分なんだ。
人間は本来、自然の一部であって、一体のモノですが、人と言うものは自分以外が目に入らなくなるものです。
もう、すっかり、本来の自然の一部にかえり、肩の力も抜けて、自然と一体であることを愉しんでいる、とも言えますね。
なるほど。禅っぽいな。
占いでも、自分のことを知り尽くすと、欲望の意味も判ってきて、苦しめられることも減っていきます、そう言う意味ではこう言うことを目指している一面もありますが、占いの場合は、頑張って結果を出すことを愉しむ道も大いに奨励します。
とは言え、この状態だからこそ、頑張る喜び、生きている喜びを満喫できるとも言えます。
そうか、禅はより良く生きる道か、なるほど。
入鄽垂手(にってんすいしゅ)
お、にわとりさんだ☆
「十牛図」はいろいろな方が題材に描いていますが、にわとりさんの所に、布袋様が描かれていることもあります。
それを、真の自分と出会うこと、と言う意味に取る人もいます。
しかし、多少短絡的な気もいたします。
そうかな、そうじゃないの?
最後だから、修行の果てには何か特別な何かが提示されていて欲しい、と言う願望ではないかと思います。
まー、それはあるね。
真の自分、と言う固定的で絶対的なものではなく、人間性は常にバランスを取ることが大切です、そのバランス感覚が優れた人が悩み苦しみにくい、と言えるでしょう。それは何らかの境地と言うより結果論的です
他にも、いままでの自分の学びを人々に役立ててこそ、甲斐がある、と言う考え方もあります。
まー、判るよね。悟った私の話を聞きなさい、みたいな。
自然に元の生活に戻れば、それで良い、と言う考え方もあります。
人と比べて苦しんだり、妬んだり、しかし、それは「牛」が「人」から分かれていく原因でした、今はその心配も無いので、元に戻っても、他の何かをしても、不幸に悩み苦しむことも無いので、自然に元に戻れば、自然に人に良い影響を与えることもあるでしょうし、
客観的には、それが真の自分に会った人に見えるかもしれません。
そうか、絵だからこそ、自分の状態によっていろいろ考えることが出来るんだ。
そうです、ですから「十牛図」は100人いれば100の解釈があっても良いでしょう。
「十牛図」がどう見えるか、で今の自分を知ることが出来るかもね。
それも面白い楽しみ方ですね。
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