かえるせいのおうじさま
「次の星の大人はずっとお酒を飲んでいましたよ。」
「お酒が好きなのかい。」
「全部忘れたいから、って言ってました。」
「お酒を飲んだら忘れられるの?」
「いや、忘れられているようには見えませんでした。とっても悲しそうでしたよ。」
「ただ、恥ずかしい、って言ってましたよ。」
「何を忘れたいの?」
「大人になってしまって自分のやりたいことを全く思い出せなくなってしまって、悲しいのだと思います、だから、大人の仕事を忘れたいんだと思います。」
「大人になると、どうしても自分がやりたいことを忘れちゃうのかな。」
「自分がやりたいことをやると、いつまでも子供だ、ムダだ、って言っていつも怒られるでしょ。」
「お酒をずっと飲んでいた大人は、自分がやりたかったことも思い出せないし、何を忘れてしまったかも思い出せなくなってしまったんだと思うんです。」
「もう、何が悲しいかさえも判らないのか。」
「大きな木が自分の星にいっぱいになって大人になっちゃうんでしょ?」
「それもあります、しかしたくさんの知恵をつけてしまうことで大人になってしまうこともあります。」
「知恵は良くないの?!」
「知恵はとっても役に立ちます、便利なものです。」
「しかし、注意深く扱わないと、知恵という毒は体中に回り、知恵を使うことは出来なくなり、知恵に振り回されるようになってしまいます。」
「知恵に振り回されてしまう?」
「自分の気持ちがしっかりしていないのに知恵に支配されてしまうと、自分の気持ちと関係のない損得だけで動くようになってしまいます。」
「損得か。」「でも、損得も大切でしょ?」
「もちろん大切でしょうが、自分の気持ちを損得で判断して良いのでしょうか、人生は永遠ではないですからね。」
「そうか、損得だけで考えているうちに人生はいつか終わっちゃうのか。」
「ですから、毒蛇には気を付けないといけません。」
「毒蛇!?」
「毒蛇はあらゆる所にいて噛まれると死んだようになってしまうのです。」
「毒蛇は良くない知恵をもたらすんだね。」
「かえるさんが地球に来た時も最初にあったのは毒蛇でした。」
「怖いね!大丈夫だったの?」
「かえるさんは砂漠に着地したのですが、誰もいなくて驚いていたら毒蛇が現れたのです。」
「毒蛇に地球には誰もいないのですか?と聞いたら、毒蛇は砂漠だからいないんだよ、と教えてくれました。」
「そう言えば、にわとりさんの飛行機も砂漠に落ちたんだ、砂漠は無意識なんだよね。」
「毒蛇は無意識の砂漠にもいるんだね。」
「そうです。というか知恵は無意識にも入り込んでしまうのです。」
「何でそんなに簡単に入り込んじゃうんだろう?」
「むしろ、人の方がそれを探し求めるからです。」
「そうなの?!」
「人は不安になった時に知恵を求めます。そして自分の気持ちを忘れて、みんなが欲しがっている得を求めてしまうのです。」
「一回そうなってしまうと、得を追い続けます、得はいくら集めても満足できませんから、もう他のことは出来なくなってしまうのです。」
「得を追いかけることも大切かもしれませんが、バランスを逸してはいけません、自分が本当にやりたいことをすれば成長と言うとても大きな安心感を得ることが出来ます。」
「成長すると安心できるの?」
「自分が本当にやりたいことでみんなのためになったら人はとっても自信を持つことが出来て成長しますし、もっと頑張りたいと思うようになるのです。」
かえるせいのおうじさま 第五章 終わり
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